じつは日本でfacebook普及を阻んだのは、はてブだったのでは論

論とか名づけるほど大したものではないですが、ちょっと思いついたので駄文をば。

facebookというのは、いうまでもなくソーシャルネットワーキングサービスなわけです。で、SNSである以上は色々なフレンドと交流をするわけですが、なにをネタに交流するかというのは意外と重要だったりします。

日本ではSNSといえばmixiとかGREEが走りだったわけですが、その後SNSブームとも呼べるようなものがあって、特定の話題に特化したSNSが乱立した時期がありました。

このとき後続SNSが考えたのが、特定の話題に特化したネットワークを作る、ということでした。たとえばダイエッター達の集まるSNSとか、あとはご当地SNSとかやたらめったら作成されました。

後続サービスがジャンル特化を狙うのはある意味当然ですが、このときのブームの背景にはもう一つ意味があったように感じます。それが「mixiの日記に書くようなネタをそんなに人はたくさん持っていない」ということです。

サービスの軸が「交流」にある以上、交流のためのコミュニケーションをとる必要があり、そのためにユーザーができることはテキスト(日記)を書くことでした。しかし日記に書くことというのを、人はそんなにたくさん持っていません。それこそ友達との雑談レベルならともかく、かりにも大多数に向けて発信するという前提があると、人は書くネタを意外と見つけられないものです。

もちろんmixiもそれは分かっていて、コミュニティとかそういう機能を提供はしていました。しかし特定のマニアックな話題を追求できる人間、あるいはそれをテキストに日々起こし続けられる人間というのはそれほど多くなく、結局は求心力不足だっと思います。

そこで逆に、そういうコアなネタばかりを持っている人間を集めて濃いSNSを作ろう、と考えたのが後続サービスだったと思います。しかしながらニッチなサービスを目指したぶん、利益に結びつけるほどのユーザーが集まらない、あるいは本当に趣味のサークルとして閉じて完結してしまった感があります。

一方で大多数の「大した話題がない」ユーザーをとらえたのが、「大した話題を書く必要もないし、書くことができない」というTwitterでした。

……と、ここまでが日本におけるSNSTwitterに関する私見です。

で、ここからfacebookとの兼ね合いになるのですが。

facebookSNSとして上手かったのは、コンテンツを共有するシステムがきっちり組み込まれていたことだと思います。ひらたく言えば「いいね」ボタンのすごさです。

一次コンテンツを生み出せる人間はそれほど多くないですが、それに「いいね」という人間は山のようにいます。そして、なにを「いいね」と思うかで自分を表現できる、つまり自分自身のコンテンツやメッセージを作成する必要がない、そこがfacebookの勘所だったと感じています。このコンテンツの共有という流れは、昨今ではTumblrのゆるやかな普及などにも見えていると思います。

で、翻って日本でコンテンツの共有ということになった場合、はてなブックマークという存在がありました。

もちろんSBM(ソーシャル・ブックマーク・サービス)はDeliciousとかDiggとか海外にもありました。しかし日本のはてブのような、自分がなにをブックマークするか、どういうコメントをつけるで自分自身のキャラクターも表現する、そういう力は持っていなかったように思います。

はてブは、はてなブックマーカーの生活、なんていうネタができあがるぐらいに、それが一種の自己表現という側面を持っていました。つまり、コンテンツの共有によるコミュニケーションというのが、facebook以前からあったわけです。

もちろん、はてブを使う人や、広く言えばはてな民というのは、ある程度ジャンルが偏っていました。とくにはてな民はIT寄りです。しかしそれは言い換えればネットのアーリーアダプター層であり、彼らがfacebookを試すタイミングを遅らせ、またそこに没入するパワーを奪ったのではないでしょうか。

そんなわけで、日本でfacebookがなかなか普及しないのは、はてなブックマークのせいだったわけです。

……ということを、酔っ払った頭で考えておりました。